REEXP × 佐藤未瑛 アーティスト対談
日本とインドネシアは、1958年1月20日に日本・インドネシア平和条約に署名し、両国間の国交が樹立されてから、2023年で65周年を迎えるため、2023年は日本インドネシア国交樹立65周年の記念の年になります。
MISSAO ARTでは、日本・インドネシア国交樹立65周年を記念して、インドネシア人デュオアーティストREEXP (REcycle EXPerience) By : Evan Driyananda & Attina Nurainiと、日本人アーティスト佐藤未瑛とのアーティスト対談を企画し、2023年2月6日に対談をオンラインにて実施いたしました。
MISSAO ART:本日は宜しくお願いいたします。まずは、それぞれ簡単な自己紹介をお願いできますでしょうか。
佐藤 未瑛:本日は宜しくお願いします。
私は、日本の兵庫県神戸市出身です。現在は、神戸市を拠点に作品制作を行っています。私は、自分が住んでいる街の風景をモチーフにした作品を展覧会で発表してきましたが、パンデミックをきっかけに壁画制作も行うようになりました。
最近は作品制作と並行して、個人や企業の依頼、又はプロジェクトに参加することで継続して壁画制作も手掛けています。
REEXP:本日は宜しくお願いします。
私たちはAttinaとEvanと申します。私たちは常に、REEXP(REcycle EXPerience)として一緒に活動し、デュオアーティストとして知られています。未使用のものや廃材を活用し、新しい作品として生まれ変わらせるように、立体作品を制作しています。私たちは作品を通じて、環境教育を行いながら、幸せを広げていきたいと考えています。
また、ファッションブランド、企業、教育関係(大学、学校など)と連携して、ワークショップなどを実施することも多いです。
MISSAO ART:佐藤様にお聞きします。インドネシアの印象、インドネシアから影響を受けたこと、インドネシア人アーティストの印象等について教えて頂けますでしょうか。
佐藤 未瑛:インドネシアは気候が温かく、穏やかな印象を持っています。
またインドネシア人のアーティストの作品はユニークで、力強さを感じます。描く対象や色遣いがハッキリしていたり、人物があまり見たことがない形にデフォルメされていたりして、日本人のアーティストが作る作品との違いを感じ、新鮮な印象を受けています。
MISSAO ART:REEXPのお二人にお聞きします。日本の印象、日本から影響を受けたこと、日本人アーティストの印象等について教えて頂けますでしょうか。
REEXP:私たちは、日本のポップカルチャーに多大な影響を受けているデュオアーティストです。
私たちの子供時代は、テレビのアニメや、ドラえもん、セーラームーン、ドラゴンボールなどの漫画など、日本の文化が溢れていました。そのため、作品制作では、色選びやデザインなど、日本の文化に影響を受けています。
日本のアーティストに対して、最も感心するのは、ファンの日常生活にまで影響を与えるようなキャラクターを作り出せることです。
MISSAO ART:佐藤様にお聞きします。これまでのアーティスト活動の中で印象に残っているプロジェクトや展覧会について教えて頂けますでしょうか。
佐藤 未瑛:2022年に神戸にオープンしたルイ・ヴィトンの店内に壁画を描きました。神戸の街とルイ・ヴィトンのコンセプトの共通項を見つけ出し、アート作品として昇華させるために、多くの資料を集めました。
実際の制作では初めての試みもあったので、限られた時間の中で自分が納得出来る高い完成度を持たせる為には、緻密な計算も必要でした。プロフェッショナルな方々と共にお店を作り上げる事が出来る、大変やりがいのあるプロジェクトでした。
MISSAO ART:REEXPのお二人にお聞きします。これまでのアーティスト活動の中で印象に残っているプロジェクトや展覧会について教えて頂けますでしょうか。
REEXP:私たちにとって最も印象的なことは、プロジェクトや展覧会ではなく、REEXP(REcycle EXPerience)としての旅そのものです。未使用のものや廃材を活用して作品を作ることで、これまでテレビやインターネットなどを通じてしか出会えなかったような素晴らしい人々に認められ、出会うことができる今の状況があるなんて、まだ信じられません。
MISSAO ART:佐藤様にお聞きします。REEXPの作品の印象や、REEXPの制作活動についてお聞きしたいことがあれば教えて頂けますでしょうか。
佐藤 未瑛:作品に使われている廃材の形や色の組み合わせがユニークで、明るくポップな印象を受けます。近寄らないと廃材を扱っていると思えないくらいです。
MISSAO ART:REEXPのお二人にお聞きします。佐藤様の作品の印象や、佐藤様の制作活動についてお聞きしたいことがあれば教えて頂けますでしょうか。
REEXP:佐藤未瑛様の作品を見ると、絵の中の別の世界に引き込まれるような気がします。彼女の色彩、オブジェクト、描き方の選択は非常に想像力に富んでいます。また、佐藤未瑛様の作品は、私たちが子供の頃、あるものを見ると、頭の中で別のものを想像していたことを思い出させてくれます。
MISSAO ART:ありがとうございました。最後に、それぞれ質問があれば、自由にお聞きください。
REEXP:漫画は好きですか。どんなジャンルが好きですか。
佐藤 未瑛:漫画は好きです。子どもの頃はドラえもん等有名なアニメを見ていました。ジャンルは少年漫画が一番好きです。
REEXP:作品を作るときに、あるオブジェクトから別のことをイメージして、ペインティングしますか。
佐藤 未瑛:別のことをイメージしてはいません。印象に残っている対象を断片的に構成して描いているので、実在しているものを描いています。
REEXP:作品に使っている色に特別な意味はありますか。どうやって色を選んでいますか。
佐藤 未瑛:一つ一つの色に、特別な意味を持たせてはいません。印象に残った風景やモチーフを、自分の感覚に基づいて何度もドローイングしています。その中で自分の感覚に最も近い色を選んで作品を制作しています。
REEXP:佐藤未瑛様の作品はランドスケープが多いですが、実際に今住んでいるところには綺麗な景色はたくさんありますか。
佐藤 未瑛:神戸市には、綺麗な景色はたくさんあります。都会ですが、海や山がとても近い距離にあるのですぐに自然に触れることができます。また海外の建物も溶け込んでいるので、面白い景観になっていると思います。
REEXP:今まで作った作品の中で、一番好きなのはどんな作品ですか。
佐藤 未瑛:一番好きな作品はなく、まだ本当に納得したものは作れていません。これから作る作品の中で、納得のいくものが出来ればと思っています。
REEXP:いつかお会いして、直接お話しできますか。インドネシアには来たことがありますか。
佐藤 未瑛:日本にお越しになるときはお会いしたいです。インドネシアには一度も行ったことがないので、これから是非行ってみたいと思っています。
お二人は、どのようなきっかけで廃材を使われるようになりましたか。
REEXP:当初は、作品を作るための材料を購入するための資金が限られていたためです。私たちは、大学で美術を学んでいるときから一緒に活動していますが、当時はまだ作品の材料を購入するための十分な収入がありませんでした。
そして、私たちが住んでいる街のゴミの山を見たときに、みんなが使っていないものや廃材を活用して、新しい作品に変えてはどうかと考えたのです。それが、未使用のものや廃材を使うようになったきっかけです。
佐藤 未瑛:作品は作る前から完成のイメージがあるのでしょうか。または作りながら考えるのでしょうか。
REEXP:私たちの制作プロセスにおいて、他のアーティストとは異なる点があります。制作する作品の大きなコンセプトを決めて、型になるものを考えることはありますが、スケッチはしません。
素材はどんなものになるかわからない未使用のものを使うため、制作過程では驚きが多く、最初に考えていたコンセプトとはかけ離れたものが出来上がることも多々あります。これが、私たちの制作プロセスの面白いところです。
佐藤 未瑛:制作を進める中で、
REEXP:大変なことや困難なことについては、特にありません。作品を制作する上での問題点を、チャレンジとして捉えています。
例えば、制作プロセスの中で三角形のものが必要になったのですが、手持ちのアイテムの中には、三角形に適したものはありませんでした。そういう時は、他のものを自分の望む形に変えてしまうか、他に適したものを探すか、どちらかしかありません。こうして、私たちは、作品を制作しています。
佐藤 未瑛:今後の夢や目標はありますか。
REEXP:今の生活は、私たちにとって夢のように感じられます。なので、夢から覚めたくはないです。今やっているような活動、知識や経験の共有などを、人生の最後まで続けたいと思っています。
MISSAO ART:佐藤様、REEXPのお二人、本日は誠にありがとうございました。
対談日時:2023年2月6日オンラインにて